こどものひ お留守番1508
こどもらしからぬこどものひ
15サラと8サラがお留守番してるだけ。植物系触手プレイは筆者は大好きですよ。関係ないですけど。ええ。
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『起きた?』
『...あのおにいちゃんは?』
『出かけたよ。後の二人もね』
『そっかぁ』
小さな少年が目を覚ました時、しがみついていたはずの逞しい体躯の青年はおらず、寝台の中には少年と、その少年によく似たもう少し大人びた雰囲気の少年がいた。
『気分は?』
『...ねむたいの』
『よく寝るねぇ僕は。こんな風だったんだ』
『ぼくは、あなたになるの?』
『僕になったらしいよ。どう思う?』
『こわいな。なにがあったんだろう、って』
『...色々あったよ。でも、少なくとも千年生きるんだ。心配しなくていいんだよ。今は楽しんだら?』
『...うん!』
ベッドは比較的大きく、少年二人が眠る事は容易な大きさだ。今ここにいる5人が眠るには手狭かもしれないが、不可能ではないだろう。
そんな大きなベッドでごろごろと遊ぶ可愛らしい少年。ふわふわとした黒い癖毛は変わらず、少し短い。くりくりパッチリとした黒い目に長く生えそろった睫毛は可愛いらしい印象とともに美しいという感想を抱かせる。それはもう一人の少年とも酷似していた。
とはいえ、もう一人の少年の目に抱く印象は、可愛らしさというより儚さや色気の方が近いと言える。それを表情や立ち居振る舞いの一体何で醸し出しているのかはわからないが、二人は同一人物でありながら、大層まったく別の人間に思えた。何があったのか、を聞くことが躊躇われるほどに、何かがあったのだろうと感じさせる程だった。
小さなサラトナグ、今この現状で小さな精霊たちを世話している青年が小サラと呼んでいる少年は、大きな自分が大層気になるようで、自分とそっくりな髪をいじり、手を合わせ、ぺたぺたと育った身体を触っていた。
それに対し大サラと呼ばれている少年は、くすくす微笑みながらそれに応え、指から細い蔦を出してみせる。
『わ!!!』
『ふふ、どう?出来るようになったんだよ、君は』
『すごい!すごいすごい!!すっごーーい!!』
『あはは、ほら、まだ出るよ、ほらほら』
両手からしゅるしゅると細い蔦を出し、小サラと遊ばせる。宙をするすると舞うその蔦の先を、猫のように追いかける少年に、思わず笑みがこぼれた。
『つかまえた!』
『捕まっち、っわぁ!?』
そんなあどけないやりとりの直後だった。蔦が小サラに触れた瞬間、その手に絡みつき、根付き、融合したのだ。引っ張ってみても取れない。二人は顔を見合わせるが、その間にも意思とは関係なく蔦達がみるみるうちに増え、幼い少年達へ巻きついていく。
『えっ、やぁ、どうしたの』
『ちょっと僕がやってるんじゃないんだよ...制御できない...ごっめーん、やばいかも
ちょっと魔力が...多すぎる...かな?っ、ふぁ、あっついなぁ...!』
『やっ、だめだめくすぐったいからぁ!きちゃだめ、だめ、あぁっ、やんっ♡』
二人の少年に巻きつき更に制御不能に陥った蔦は、小さな少年の柔い肌を這い撫でる。身体中を這い回るその蔦は、決して絞め殺そう苦しめようという動きではなく、豊潤な清い魔力を楽しみ元の主人の幼い頃を愛でているような雰囲気ではある。
ではあるのだが、なんせ量が量である。相手も相手である。幼い頃とはいえあの色狂いの身体。ほんの僅かな刺激さえも我慢できぬようで、くすぐったいと捩る身体は次第に悶えへと変わっていく。
操る大サラも、小サラと繋がった事により自分の中へ流れ込んでくる魔力の制御ができず、身体の中で暴れる許容量をオーバーした魔力に翻弄されるのみ。息が荒れる。鼓動が早くなる。体が熱い。決して身を壊すような暴力的な物ではない。身体に染み渡る満足感のある感覚。巨大なだけで自らの魔力であるとわかるのだが。あまりにも心地良すぎて、身体が痺れる。
少年は目の前で蔦に愛され悶える幼い自分を抱き締めた。
『ごめ。ごめんよ、はぁっ、もうちょっと、もうちょっと耐えてね...っ、がんばってみる...』
『うんっ、にゃあっ、がんばるぅ...!やっ♡つたさん、それだめぇ!!』
『あぁ、もう、ごめんよぅぼくぅ...!!ああぁっ♡』
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「こら。なにをしているのかな。いくらぼくをあいしているからといって、おさないぼくをいじめるのはかんしんしないよ」
日が既に沈んだ頃、声変わりもしていない高い声が、舌足らずなたどたどしい喋り方で、それにしては冷たいトーンの言葉を吐いた。
部屋中を埋め尽くす程に蠢いていた草花が動きを止め、許しを乞うようにその声の主へ向かっていく。声の主はもう一度こら、と叱りながら、彼らを胎内へ迎え入れた。
『...だいじょうぶかい?おやおや、これはひどい。そうかそうか、せいぎょがきみたちではできないんだね。たからのもちぐされだ。はっはっは』
「あれす!!こっちにいたよ、きれいにするからてつだっておくれ!!」
「そっちか...うわっ、どうしたこれ。何が...えぇ...?意識ある...のか?」
「わっ、わぁ...二人とも大丈夫なの?こわいね...」
「だいじょうぶだろ、たぶん。ちいさいほうはねればなおるし、おおきいほうもじょうぶだろう。とりあえずあらってあげようね」
「はぁーい!」
「えぇ...そんな適当な...受け入れちゃうのかよ...」
ようやく外出から帰ってきた三人が見たものは、月明かりの差す寝台の上で、何が何だかわからない液体に塗れた、ぐったりとした様子の少年二人。むせ返るようななんとも形容しがたい部屋の香り。散る葉。乱れたシーツ。守るように幼い少年を抱き締めたまま、身体中に紅い痕を付け、寝台に横たわっていた。
『...きた』
『ただいま。ぼうそうしたのかな?』
『蔦で、こっちに触ったら...手に、おえなくて...』
『そりゃあねぇ。でもがんばったね。もうだいじょうぶ。あばれたのはぼくがもらったからね』
『うん...』
『たべものかってきたから、たべてやすむといい。ちいさいのはおきるかな?』
『魔力の流れが止まらないから、強制的に落としたんだ...まだ起きない、かも』
『...しんでいないならせーふ。からだあらっておいで』
『おにいさんに洗ってもらってもいい?』
『さすがぼくめんくいだ。だめ』
『えー...残念』
「...話、おわったか?」
「うん。とりあえずおふろいかせるから、あれすはそうじしておいておくれ」
「...この惨劇を?」
「そうだよ。ちゅうさら、てつだってあげて」
「はぁい!がんばるね!」
「一人じゃないだけマシか...」
この中で唯一の青年は、ガサガサと箒を持ってきて、散乱した様々な植物の葉を集める。それを真似するように、中サラもえっさほいさと拭き掃除を始めた。
汚れに汚れた少年は、もう一人の意識のない少年を抱えて、怠そうに浴室へ向かう。ちょうど青年の隣を通りがかった時、あの匂いが鼻についた。
「...何があった?」
「知りたいなら今夜にでも教えてあげるよおにいさん...でもちょっと疲れたから、後でね...」
「...いや、それは遠慮するわ...」
ふわふわであったはずの黒髪が、湿り、潰れている。後ろ髪に付着した白から、なぜか申し訳なくなり、目を逸らした。抱えられる少年の首筋の紅い痕を、気にしながらも。