ほうさんのお国柄

企画参加用創作ブログ。絵は描けない。文のみ。お腐れ。色々注意。

七不思議ってどう思う?

七不思議ネタを見て感化されて書いてしまった。学園PFCSにこんな設定がある訳じゃなく、思いついたから書いてしまっただけなので、私の脳内番外編です。

 

サラ先生の口調が書ければ満足でした。

もしあかん感じならすぐ消すんで、その時はどなたか忠告よろしくお願いします。調子乗って捏造してんじゃねーぞ、って。

 

サラ先生は本編17歳のサラさんとは違い、 20代。成長期を終えた先生なので、身長伸びて、性格がちょっと鬱陶しくなってます。色狂いレベルを少しギャグ向けに下げてありますので、ご留意ください

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僕にも、学生時代があった。

あの時の僕は、好奇心が強くて。いや、今も強いけれど。

夜の学校に忍び込んで、探検をしたものだ。あの時は友人が少なくて一人で。いや、うん。今も友人は少ないけれども。

 

当時七不思議と呼ばれるものが流行っていた。

今も流行っているけれど、その比じゃないくらい。

七不思議、裏七不思議、真七不思議。ここまではまだいい。

超七不思議、うん。なんだろう超って。

極七不思議。極めるのかぁ。

超絶大獄七不思議。あったあった。中学生がね、作ってたよ。

真羅刹大獄なんちゃらほんちゃらぱらりら七不思議。もうここまで行くと覚えていない。

 

ともかく、とても流行っていたのだ。作り出すことが流行っていた。より奇抜な、より恐ろしいものを。作っては作り消えては作り。

もうそこまで適当な話を作るなら百物語にでもして纏めろよ、と思うのだが。当時の幼い僕もまた、そのどんどんと規模がインフレを起こして行く状況に興奮し。まるで探検家にでもなったような気分で、一人で真相を確かめようと夜の校舎を歩き回った。結局、教頭先生に見つかって、色々お叱りを受けてその探検は終わったけれど。

 

何故こんな話をするのかと言えば、僕の立場が見つめる側から見渡す側になり。見守る側になり、導き手になり。当時の教頭先生の苦悩が、ありありとわかる様になったから。

いやはや、今思えば問題児だった。極めて申し訳ないと思う。恩返し、というわけでもないが、今度は僕が、ありとあらゆる生徒達を、愛して行かねばならないと思う。

 

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何故教員になったかと聞かれれば、あまり明確な答えはない。面白そうだったから。それに尽きる。教頭先生の意思を継ごうという気もあった。恩師だ。

 

 

さて。僕自身には様々な噂話がある。

例えば? 放課後の美術準備室に入ると食べられちゃうぞ、とか。夜な夜なあまぁいひと時を、準備室で誰かと過ごしているとか。まぁバリエーションは尽きないが、つまりはあっはんうっふんだ。

他の先生方でも結構耳にする。鏡の前で奇行を繰り返す教頭先生とか、グリム先生の異空間には何人もの生徒が閉じ込められている...とか。

本当かどうかは関係ない。そういう噂が、七不思議として存在している。

 

ありがちな、トイレの少女、音楽室の肖像画などなど。勿論ある。

が、それとは別として、実際にあったとされる、この学校独自の七不思議として存在している。どんなきっかけで産まれたのかは知らないけれど、何かしらがあったのだろう。それ以外の話も、何かしらの原因が必ず有って起きている。

それが噂になり、有る事無い事脚色され、それはもう大きく大きく立派に成長していく。子供の想像力というのはなんて大きな力を持つのだろう。産まれてしまった噂話は、七不思議、という不思議な言葉の力によって、生きてしまうのだ。

 

今日もまた、僕の優雅な放課後は、一人の生徒の訪問によって中断された。構わない。歓迎する。夕暮れの朱色と年頃の子の頬に刺す紅の、なんと美しいことか。

けれども、僕は、これでも教員なのだ。僕から生徒に触れるなど有ってはならない。もう少し前には何度かうら若き果実の甘い誘惑と云うかなんというか。屈したことはあるけれど。まぁ時効だ。

 

触れたいのならば、どうぞ。

僕に出来る精一杯。生徒の希望を叶えてあげたい気もするし、好かれるのは悪い気はしない。むしろ、これ以上ない光栄だ。

どうせならもっともっと満足させてあげたいけれど、それをしちゃあそろそろ解雇される。それは避けたい。

僕は触れない。見もしない。経験上上半身までなら脱いでも割と強引に誤魔化せる事が分かっている。シャツなんて邪魔くさい物さっさと取っ払ってしまって、晒け出す。授業中散々脱いでいるのだ。大した事じゃない。下さえ脱がなきゃセーフセーフ。図太くなったものだ。

 

ペタペタ僕に触れる、辿々しい手付き。これにも慣れたものだ。最初は擽ったくてどうにかしてやろうと思ったけれど、耐えるというのもまた楽しい。

その手が、おやおや。そっちへいってはいけないよ。目を開いて見つめてやれば、動きを止める。手を伸ばせば逃げない。頰を撫でてやる。

それ以上は、君にも責任があるよ。その覚悟はおありかい。そう問えば、生徒はハッと気づいた様に、僕から離れ、お辞儀をして、出ていった。

 

さて、問題はこれだ。あの子は誰だったのか。

僕は高等部の教師だが、高等部の生徒全員の顔と名前を覚えている自信がある。あの制服は高等部の物だ。しかし、僕は知らないのだ。

更に言うのであれば、この美術準備室の隅。そこに見える黒い靄。艶かしい脚。のみ。あれも知らない。僕はあんなもの作った覚えがない。いくら欲求不満だからってあんな彫刻作らない。いい出来ではあるが。

目を瞑る前は女子生徒だったのに、開けば男子生徒。去る姿は女子生徒。瞬きの度に姿を変えた。さてさて、一体あれはなんだ。

うーん、わからないねぇ。思い当たる節があるとするのならば、あれこそが、七不思議だ。

 

実際にこうして僕に会いに来る生徒というものはいた。理由は様々だ。

授業の補修は勿論。主に男女の関係についてのお悩み相談だって受けるし、単に男の身体が気になるから見せて、という生徒もいた。それどころか僕が隠し持っているおやつを集りに来る生徒もいたし、そういった要件、で来る可愛い子もいた。

精一杯のおもてなし、をしているうちに、どこからか、どうやってか、噂が立つ。

サラせんせーとの放課後。噂になってからは早いものだ。どんどんと来客が増える。お菓子も増える。僕はお腹の脂肪を落とすために大事な休日に運動の予定を増やした。

 

その頃から、この部屋に黒い靄が出だした。そして、見知らぬ生徒が現れだした。噂が独り歩きしだしたのだ。困ったもので中々に魅力的な姿をしている。黒い靄の脚なんて僕にそっくりだ。道理で艶めかしい。はっはっは。

 

サラせんせーとの放課後を過ごす生徒の姿。

これはもう成り立ってしまった。照れながら美術準備室から駆け足で出ていく生徒。もし誰かが見れば、更にこの噂は広まっていくんだろう。

だがそれがどうした。所詮そこまでだ。

なんせ、まだ、憧れに過ぎない。本当にサラ先生の誘いに乗って放課後に訪れたらどうなってしまうのだろう。そんな思春期のワクワク感が産み出しただけの幻影だ。童の心と書いて憧れだ。あの幻影がそれ以上育つ事はない。子供の創造の範囲内でしか育たない。ましてや高校生。小学生ほど無邪気な悪意ではなく、中学生ほど誇張に満ちていない。ちょっと危ない、位に惹かれるのだ。早々大きくはならないだろう。

しかし、この靄は違う。これは生徒の憧れじゃない。僕の行動に依存した、もっと恐ろしい何か、だ。

 

もしも僕が生徒に本当の意味で手を出せば、いつかは必ず噂が広まる。もっと過激な噂が。

それがこいつだ。どうせ噂が完成しきったら僕の姿になって、僕の代わりにあの幻影といいだけエッサホイサしてなんか美術室から変な声聞こえる〜とかいって僕が懲戒免職だろ。知ってる。ああ怖い。そんなの勘弁してくれ。折角自由に過ごしながらも生徒に普通に挨拶してもらえる立場になれたんだから。キャラ確立したんだから。もうやめてくれよほんと。

 

しかし、やっぱり、その程度。僕がいい歳こいて理性ぷっつんしましたぁ〜、って間抜け面で世間のお茶の間に流されて無職になって夢のぐーたら引きこもり生活に突入するだけ。生徒もどうせ満更じゃない子が来るんだし、大した事ない。と思ってる。教員の言っていい言葉じゃないってこともわかってる。

 

 

何が言いたいっていうと、冒頭に戻る。

七不思議、っていう言葉は、本当に強い力がある。それと子供の創造力が愛し合うと、おんぎゃーと、何かが産まれる。それは、煮詰まって行けば行くほど、強大なものになって行く。

 

校庭に現れる、巨大な鋏を持った怪物女。見ると一週間以内に死んでしまう家庭科室の首吊り人形。...産まれる。生まれるんだ、簡単に。

虐められて自殺したA君。窓際の席、突然思い立ったように飛び降りた黒髪の少女。いたかいなかったかは関係がない。産まれるのだから。

 

そんな危険なものを生み出すくらいなら、もっと平和的な物で満たそう。...どうせ七不思議っていう物は出来てしまうんだから。

 

校庭の大きな桜の樹の下で告白すると結ばれる。可愛らしくて結構。

修学旅行の三日目の夜、集合写真を撮るとお化けが映る。結構結構。そのお化けにいらん設定をつけるんじゃなければ大いに結構だ。架空の級友と親睦を深めて欲しい。

サラ先生と美術室に入ると孕む、とか、そこまでぶっ飛んだ設定にしないでくれるなら、僕をいくら弄ろうとも結構だ。

他の教員でも中々平和的な噂がある。こんなんで済むんなら、そんな七不思議で満足してくれ。変に恐ろしい物を生み出さないでくれ。

 

僕の学生時代、当時は、教頭先生だった。平和な七不思議で枠を埋めようと、奇怪な行動を繰り返して、自分を原因にしようとしていた。自分が原因の噂話なら、そう簡単に大きくならないからだろう。

わざわざ髪を剃ってカツラにしたのが一番笑えた。一瞬で七不思議になった。浮かぶ教頭のズラ。前日までフサフサだったのに。身体張ってたなぁ。

恐ろしい七不思議が氾濫して、きっと彼にも至る所に靄が、産まれかけの七不思議が見えてしまったんだろう。すまないと思う。僕も滅茶苦茶作った。主にえっちな物を。教頭先生がその舞台の教室で、夜な夜な呻き声を上げながら筋トレをしてくれたおかげで、先生の肉離れと引き換えに僕の七不思議は実体化しなかったけれど。ありがとう教頭先生。筋肉は偉大ですね。

 

ええとなんだっけ。ああそうだ。くだらない七不思議で枠埋めれるなら、色ボケ教師っていう称号も悪くない、ってことだ。つまり。

まぁ当時の彼こと教頭先生程、今の七不思議は荒れていないし、僕も好き勝手生活しているから辛いことはないけれど。言葉の力はすごいんだぞぉ、って事だけだ。

 

もしも僕の噂が独り歩きしてしまったら、僕は教頭先生の意思を継ぎ、色っぽい声を上げながら毎日毎日美術準備室で筋トレをする事になる。多分意図しなくても出る声だけど。

いやしかしそれは勘弁だ。マッチョになんてなりたくないぞ。教頭先生の年の割にムキムキになっていった筋肉を今でも覚えている。申し訳ないことをした。学生時代の思い出なんて正直それしかない。

 

 

...そんなくだらない面白い思い出しか無かったから、教師になったのかなぁ。

まぁ、いい。僕はダラダラこの部屋で夜まで過ごして、黒い靄が消えるのを見送って帰ればいい。

生徒の遊び道具を、管理するのが勤めだ。そのためになら、遊び道具になる事も悪くない。

 

脱ぎっぱなしだったシャツを着ないと。見つかったらまたあらぬ疑いをどこかでかけられる。

どーせ、サラ先生がまた一人で自分の身体に見惚れてましたなんていうナルシスト疑惑だろうと思うけど。間違ってはいないけど。

おや、ちょっと脂肪がついたかもしれない。今夜はどこかへ運動しに出かけようかな。おやおやちょっと待ちたまえ僕。身体のバランス崩れてないか?不摂生が過ぎたかな。ああこっちもちょっと生活の乱れがでてるぞ。これはいけない。

 

鏡の前で色々見ていたら、唐突に扉が開いた。おおっと、だから言わんこっちゃない。学校で自分の身体のチェックをするんじゃないよ、僕。どれだけここでにっこり笑っても、引いてる彼女は誤魔化せない。彼女は何も言わず目を隠した。シャツを着る時間を与えてくれるらしい。見なかった事にしてくれるとはお優しい事だ。引き攣る表情筋をどうにかしてくれると心の痛みが治まるんだがねぇ。

 

はいはい、ナルシストですいませんね。美しいのがモットーだからさ。仕方ないね。