ほうさんのお国柄

企画参加用創作ブログ。絵は描けない。文のみ。お腐れ。色々注意。

リハビリ練習 書き分けと情景描写練習

最近全然かけないから、リハビリに、おんなじシーンを視点分けて書いた。四日くらいかかったぞ。なんでだ?

 

第三者視点は、第三者がいるわけではないが、【見てわかる情報のみ】の視点。心情の描写は、だろうか〜?とか、あいまいな形での表現のみ。精霊のさっちゃんと、人間でわりとドライなあっくんの、感じ方とか、着眼点とか、そういう差が、書きたい。

 

大抵いつも、書きたいシーン、だけ考えて、ぱぱーとたのしく書いている。第三者視点を中心にして、キャラの心情描写は神の視点として、書き方をカチッと変えて、そういうリズム、になるように表現するのが理想。

 

普段は書いて消して合わせてうんぬんかんぬんしてるけど、リハビリって事で、一切視点を混ぜずに、消したりもせずに、書き出した。ここから神の視点描写に書き換えながら、情景描写の言葉の推敲をするんだけど、わりと気に入ったからここまでで終わり。

 

ほんへ終了後。一緒に住んでるサラアレの、夕方のひと時。ホモだけどそんなにホモじゃないよ。ホモだけどね。

 

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【かきたいなって思ったやつ】

木の上にさっちゃんが座ってて夕日見てたらあっくんが来て、あー、あっくんの目が綺麗だなーって思う。

あっくんは、月明かりと夜空みて、ほんで、さっちゃんの目を見て、あー、好きだなーっておもう。

 

 

 

 【第3者(客観)視点】

大木の一枝。腰掛けて足を宙へ放り出す少年。

その少年は太陽の沈んで行く西の空を眺めていた。茜色。境界線もなく覆いかぶさる暗い水色。わずかに淀んだ曇り空だ。きらめく太陽はぼんやりと姿を残している。眩しいというほどの輝きはない。明るく燃えるまま、地平線の下へと埋もれて行く。何か珍しいわけでもない風景。それなのに何故か意識を奪われる風景。少年は何か動きを見せる訳でもなく、ただただ静かに太陽を見送る。

 

少年の横、太い枝に掛かる頑丈な蔓を支えに、一人、人間の青年が登って来た。食事の準備が出来たと、その青年は少年に告げる。綻ぶように微笑んで、少年は青年の柔らかな色の茶髪を撫でた。奥に澄んだ暗さを湛える紫が、じぃっと、黒い黒い少年の瞳を見つめ返す。その紫に手を伸ばし、白い頬を撫でる。端正な、男の顔の輪郭を、愛おしげに。白磁の指先は茜の差す頬を覆い、抵抗という言葉を知らないのかと思えるほどにその愛撫を受け入れる逞しい青年の身体。気付けば光は全て闇に抱き被され、月の明かりが出始める頃となっていた。冷たい風が、彼等を攫うように木から降ろす。

根元に建つ小さな小屋。木の扉を潜り、彼等は姿を消した。

 

 

【さっちゃん視点】

 

毎日毎日繰り返される天上の円転。見慣れたものだが、だからといって美しさが変わるわけではない。恵みの価値は、どうなろうと不変。代わりのないもの。それはわかっているのだけれど、僕という一つの個体に与えられた個性として、僕は夕暮れが好きだった。

そう人間嫌いでもない僕がわざわざ街から離れて暮らすのは、確かに人間臭すぎるというのもあるけれど。それ以上に、あの眩しい街では夕暮れを見れないというのがあった。確かに加護と恵みにあふれた眠らない街は、とても暖かい。しかし、橙色と闇色に混ざって、どちらがどちらを犯しているのかもわからない様な交わりは、何事にも代え難い感情を起させる。代え難いので例えようもない。夕暮れを見て感じる感情。としか言えないのだ。

 

そんな感情のまま、高い木の上でぼおっと日が沈むのを眺める。時間の経過など今更気にならない。淀んだ水色が、少しずつ空を埋めていた。

 

ふと足元から声がかかる。心地のよい低い音。僕と共に住み、僕の世話を焼き、僕に愛され僕を愛す、僕の大事な、ひと。僕の可愛い娘達の身体を掴み、手足を踏み、僕のいるところまでやってきた。食事が出来たと言う。今日の献立はなんだろうか。彼の料理の腕も随分と上達した。毎日の楽しみが出来た。褒めるように茶色い髪を撫でる。僕と同じ花の香が、ふわりと満ちた。

彼の姿を見ていると、僕の思考を探っているのか、紫色の綺麗な瞳が見つめ返してくる。きらきらと輝くというよりは、もっと深くて暗くて澄んでいて。星か月のような静かな光が時折差す、そんな瞳。

 

僕は彼の瞳を、夕暮れに見るのがとても好きだ。よく晴れた日暮れ、運がいいと見える、美しい茜と紫の調和。それが僕のとっても好きな色。望んで見られる訳じゃない、夜の色。品のある柔らかさ。灯る白い光を連れて、太陽を寝付かせる静けさ。穏やかで、それでいて夜を楽しみに期待させる美しい空の色。

そんな色が、彼の瞳にはあるのだ。

 

手を伸ばしても決して逃げず、むしろ身を委ねるように力を抜く。きめ細やかな白い肌も、しなやかな肢体も、どれだけ撫でても何もいわず、心地好さそうに目を閉じた。手を離したくない。どれだけ触れても触れたりない。ずっと、ふれていたい。

そう思える、彼は。もう永遠のもの。永遠のぼくのもの。

 

ねぇ、めをみせて。想うだけで、美しい額縁にいれられた紫が煌めく。

その瞳を見る度におもう。僕は、夜を手に入れたんだと。

 

気づいた時には茜色は完全に閨に沈んでいた。本当に、時が経つことを忘れてしまう。

暗い淀みを背後に、美しい夕暮れの色は、まだ目の前に。肌寒い風が彼の髪を梳いた。彼は僕から視線を外して、下へ降りていこうとする。

もう一度僕を見て、待つ。動き出すと、軽やかに降りていった。

いつかの明日も同じことを繰り返す、のどかな暮れ。時間はいくらでもあるのだ。いくらでも。飽きるほど。

 

 

【あっくん視点】

 

日の入りに合わせて夕食を作るのが日課になった。会う時は忙しなくしていたようだったが、一緒に暮らし始めて、あの家主は相当のんびりと毎日を過ごしているのだと知った。作るものは温めなおし易いものを。大抵完成してすぐに食事になる事はない。腐りやすい生物はまず使わない方がいい。呼びに行ってそのまま外で寝る事もザラだ。フタが締められるものは締めて、片してから呼びに行く。

 

最初は戸惑った。暇があれば夕暮れの太陽を見にいく。湖、屋根の上、木の枝、見晴らしのよい丘、海際の崖。場所はその時々で様々だが、馬を用意しなければいけないような距離だと多少困る。

 

今日は、小屋のすぐそばの大樹の上。太い枝に座っている黒色。楽だ。当たりの日。頭上にいる、黙っていれば、本当に美しくて可愛らしい、少年、だと思うのだが。つい出てしまうため息に苦笑して、大樹まで呼びにいく。登るのに使ったと思われる、恐ろしく太くて頑丈な蔓と葉。乗っても平気だと信用するまでに結構な時間がかかった。それらを足場にして、ぼうっと夕日を眺めている同居人を呼ぶ。

 

飯だぞ。そう言うと、犬を褒めるかのように、にっこり笑って頭を撫でてくる。嫌いじゃない。さてしかし、相変わらず今日も降りてくる気はないらしい。一体何を考えて、何を思って、網膜が焼けそうに眩しい光を眺め続けていたんだ。俺がその思考を理解できる日は、いつかくるんだろうか。眺めてくる黒い瞳を見つめ返して伺っても、わかるわけがなかった。むしろ思考が吸い込まれるような、黒色。考える事自体が野暮だといわれているような、それほどまでに、その奥に何があるのかわからない黒色だ。

体の奥がざわつく。伸ばされた手を受け入れて、誤魔化すように寄って、目を閉じた。きっとまだ見つめている。

深夜の空を映した海のような、黒色。落ちたら戻ってこれないだろうと背筋が震える色。ひどいこと、を簡単にやってみせる白く細い腕で優しく撫でながら、優しい笑みを浮かべながら、その瞳の深海に、俺を落としている。

 

嫌いじゃない。それも。

閉じた瞼を刺し抜く光が、少しずつ、弱く、弱く。日が沈む。きっと、もう、西の空の茜色は消え失せて、天上を覆っていた鈍い色が、もっと暗くなって、視界を塗りつぶしている。今も俺を見ているだろう瞳と同じような色が、一面に広がって、夜になっている。

目を開けてと言われた気がした。やわく撫でる感触に委ねていた意識を手繰り寄せて、瞼を開いた。想像通り、飽きもせず、ずっと撫でていたらしい。一面が黒。白い白い肌が、その中の黒色を際立たせていた。凍えたように動けなくなる。それでいて脈動を強める心臓がいる。死んだように生かされる。生きられる。その瞳の中で、永遠に。夜に魅入られた。そんな気がするんだ。月明かりを浴びるあんたを見てると。

 

冷えた風が、長い黒髪を少し揺らしたのが、なぜかやけに目についた。先程から吹いていたはずだが。こういうのが、精霊達の言う、大いなるものの声、なんだろうか。

それとも、腹が空いたという俺の感情が、そろそろ戻ろうと言おうとおもっていた気持ちが、そうさせたのか。とっくの昔に捕まっている夜色の目から視線を外して、木から降りようとする。ついてこない家主を振り返ると、何がおかしいのか楽しいのか、ご機嫌なのか。小さく笑った。ようやく重い腰を上げた事を確認して、一足先に地面に降りた。もう一度、温め直さないと。昨日も、今日も、明日も、これからも。