ほうさんのお国柄

企画参加用創作ブログ。絵は描けない。文のみ。お腐れ。色々注意。

【閲覧注意】ずっと続くといいだろう

ファサネイトさん視点のお話。ただただ彼が一日というか何もない平常を語っているだけ。でも彼の平常がちょっとおかしいから普通に閲覧注意です。
 
残酷やグロではなく、エロ、すけべ関係の閲覧注意です。僕の書いた中では大分直接的な言葉による表現が多いです。
どちらかというとキャラ紹介系の特に目的のないssになりますが、それでもやっぱりすけべ描写がでますから…見る時は注意していただけたらと思います。
 
あと、BLっぽい所もあると思います。個人的にはファサネイトさんはただのマザコン(?)なのでなんとも言えませんけど…嫌な予感がしたら見ない方が絶対にいいのでよろしくお願いします。見なくても何の支障もありません。ただファサネイトさんのファサネイトさんらしさだけで構成されているだけのssです。コイツ難しかった…
 
 

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別に、部屋である必要はない。態々檻を壊し地下に部屋を一個体ずつに用意したのだという。どうせする事などなく、皆部屋の隅で固まっているのだから、こんな広い空間は必要ないと思う。けれどこれをお願い、したのは私達の慕う親愛なるフローレスだというので、私はこの与えられた部屋を好ましく思う。
 
仕事のない時間は、ただ窓のない地下室で過ごす。痛みも苦しみもない安らかな暗闇が私を包んでいることが幸福である。
 
 
食事の時間はある程度前後がある。石の廊下を歩いてくる足音が、果たしてどの部屋の前で止まるのかはわからない。だが大抵三日に一度は必ずくるので、それを不安に思った事はない。
 
扉が開くときは、叩かれたり、或いは無言であったり、様々だ。者による。誰でも構わない。同族達によると、皆そうおかしな担当者はついていないらしい。私も同じだ。誰が来ても、皆変わらない。研究所にいた頃と比べると穏やかだ。叩いたり殴ったり、実験しようとする者はいない。
 
だからどうだという話だが。
 
だが親愛なるフローレスは今でも王城という場所で時折実験、をされているらしいのだ。一体何をされているのだろう。しかし既に私達は、大抵の事、はされている。その結果は残っている筈。私達がされた事のない事など、愛される、しかないのでは。いやわからない。そもそも、何がこの世に存在するのか、それも知らないのだから。けれど私はそれでいい。興味はない。興味があった同族は逃げ出して、逃げ切れなかった者は消えて無くなって、逃げなかった者がここにいる。
 
外など、どうでもいいのだ。
 
 
幾許かの時を過ごし、何度かの給餌を受け、理解した程度は微小なれど、私はこの石室を苦に思った事はない。寝台とも呼べないだろう布の塊に埋もれて、喪失しない意識を呆っと遠くに置いてその時を待ち続ける蛹のような時間。どろどろに溶けて、混ざり合って。いつかはひとつになるのだろうか。
 
 
 
石の廊下に響く足音がした。照明を持っているのだろう。扉の下に細く薄く線が出来ていく。 それは私の部屋の前で歩みを止めて、扉を二度叩いた。足音と、その歩みと、ノックの動作で、それが女性である事を理解した。訪れる幾人かの生者達にはそれぞれ癖があり、毎の特徴がある。彼女は、私にとっても好ましい女性だ。彼女の身体は豊満で、すぐに熱を持ち、よく熟れるからだ。
 
鍵をかける事のない私の部屋に、来ない返事を数秒待って女性が入る。油の燃える灯の匂い。部屋の隅に追い詰められるような煤けたともしびを、女性は消した。そうして私はようやく、自身の硬化を解いてじわりと溶けるように動く。女性が何か私に語りかけているが、私の唇はまだ動かないし、動いた所で応じる気は無い。私にとっての給餌の時間はあくまで食事と使用の時間であって、彼等と何か別の物を通じ合わせる時間ではないのだ。
 
 
女性は暗い中を、私のいる方向へ歩いてくる。その足取りがとても慎重なので、私は身を起こし手を引いた。倒れこむ女性の身体を受け止めて、その温かさを感じる。生きる温度がある。それはとても芳しいものだが。
 
だが、まだ、足りない。
私は至高の一滴を求める。これは生きる温度であって継続と繁栄を求める物ではない。鮮烈に熱い本能が昂る様を、生を燃やし紡ぐ様を、熟れ喘ぐ姿を、私は愛している。手弱女の白首しか牙立てる場のない姿を寝所に倒し、女性の纏う皮を剥ぐ。生者たちが私達の餌であるとしても、私達の食材でもあるのだ。愛おしき、懸命で、熱く燃えるかたまり。それを私は芽生えた牙の愛撫でより生者らしく調理する。そうして向かわせる。
 
一に、首筋に牙を刺す。解放的な悦楽を愛する女性の声が微量漏れたことを確認し、体内から出る鮮やかな紅を吸う事なく舌で舐め取る。
徐々に塞がっていく傷口を開いたり穿つ事はせず、そのまま体温を外気に曝すように指先で促せば、この女性は何時であろうとそれに淑やかに応じてくれるのが私にとって都合がよかった。
 
二に、曝された肌を余すことなく絡ませて、牙の先で引っ掻くように、浅く細い傷を肌に躍らせながら女性の悶えくねる肢体を味わう。滲み出る雫が少しずつ、少しずつ、薫り高く熟れていく。自らが付けた傷に舌を這わす合間に、女性の唇から喘ぐ吐息を塞ぐ様に唇を合わせる。女性の腕が私を頭を掻き抱き寄せるので、私はそれに逆らうことなく女性の思うままにさせた。呼吸の必要のない私の口内を、冷ややかな粘膜のみの体内を、女性の熱を含んだ舌が快感を求めて蠢く。だから私は望むままに、悪戯な舌先を私の牙に押し当ててやり、肌の裂ける刺すような快感を女性に差し上げるのだ。
 
女性が意味のない声を上げて身体を跳ねさせる。共に揺れるたわわな乳房を柔く揉みながら、女性の唾液の混ざった血液を啜り上げた。絡み合う脚がぴくぴくと不定に力が入っている事を伝えてくる。女性の視線は暗い室内であてもなくどこかを見つめるしかないが、私には確かに欲情が見て取れた。知識としてしか知らないが、この暗闇の中で何も見えぬまま、武器もある訳がなく、自身よりも体の大きな意思を持つ者に暴かれる事を恐れるどころか触れられることを望むなど、知性が茹で上がってるとしか考えられないだろう。
喉元を宙に晒し上げ、肉体は実に本能的に涎を垂らして隠す気もなく音を立てて、女としての生殖の鎖を繋ごうとしている。愛しい愛しいその熱に応えようと、手の内でぴんと張る尖りを抓んだ。
 
この様が私は好きだ。愛しているのだ。彼等生者が望むままにその身体中に牙を立ててやりたい。
心臓が激しく脈打ち身体中に溶岩の如く燃え湧く血を送り、乳房の先が、肉珠が血に漲り、媚肉が濡れひくつく。そんな女。
吐息を荒らげ気性を下すかのように、征服し、肉の楔を隆起させ、張り出した凶器で自らの子種を植え付けようとする。そんな男。
その何方もを、私は心より愛しているから。女の媚びるままに血の塊を埋めよう。男の圧するままにその血に屈しよう。彼等の眼がどちらもただひたすらに昂りの頂だけを映した時、私は目の前の生者の【最も好きな場所】を齧り血を啜るのだ。
 
女の耳に、男の母指球に、女の二の腕に、男の鎖骨に、女の乳房に、男の下唇に、女の臍に、男の背に、女の太腿に、男の足首に。
絶頂に交ざり牙を立てて吸い上げた甘美な雫が私の喉をぬるく焼いた時こそが、私にとっての絶頂であり紛れもない、生き甲斐。流れてくる熱が冷たい私を侵して、彼等の流した汗に塗れて、情欲の薫りが部屋を満たして、その中で彼等の体温が私に移るのではないかと思えるほどに抱き合う、その数度の瞬き程の間、私は自身が生者であるのではと錯覚するほどに、目の前の生者と一つになっている。母胎の中とはこのように温かいのだろうかと、よく、思うのだ。
 
女の脚が私の身体を強く強く引き寄せて、私を強く強く締め付けて。代わりに私は女の素肌に口付けて、女の圧縮が収まるまでの間ゆっくりと牙の傷跡を舐めて過ごすのが、この食事の常、だった。
 
 
 
いつも通りに適当な布切れを使って女性は簡単に身支度をした。その時には当然ながら女性の為に灯りをつける。だから私はまた変わらず布の塊に身を埋めて、その煤けたともしびに大人しく追いやられるのだ。私の食事は終了し、女性の義務もまた終えられた。当然の様に与えられる十分な量の新鮮な血液、恥ず事なく生殖の本能と悦楽に身を任せきる管理者達。この環境に不満を抱いたことは一度もなく、この石室から飛び出そうなどとも思ったことはない。生者と異なり衰え鈍ることもない肉体を、また次の声が掛かるまで固めておくだけだ。
 
いつもならばさようならと一声のみ掛けて去っていく女性が、何故にか大丈夫かと聞いてきた。その意図はよくわからず表情に興味もなく閉じた瞼をもう一度開くことが面倒で、唇を開くことも気怠く呻くように問題ありませんと返した。女性は疎ましい灯りを持って私の部屋を後にしたので、私の部屋には再度平静と暗闇が豊潤に満ちる。私はそのまま意識を遠くに投げて食後の幸福感に身を横たえた。
 
 
 
 
また、音がした。石の廊下を歩く音だ。だが灯りはない。私は身を起こし上げ、扉の方へ向かう。指先から滲ませた血をできうる限り硬化させて爪のようにして、脚部に集中させた血を操り跳び上がり、私はその扉の真上の天井に張り付く。この程度の動作に音を立てる事は今更ない。足音は私の部屋の扉の前で止まり、三度のノックをする。この部屋に訪れる誰よりも長い時間返事を待って、彼は扉を開ける。外も内も明りはないので何も様子が変わることはないが、彼は当然私の部屋を何の問題なく見渡して、静かに私の名前を呼ぶ。だろうから私は二歩進んだ彼の背後に降りて彼を見下ろす。彼の灰色のつむじが見える。今日は髪を結っていないようだ。私が結ってあげよう。
 
 
フローレス。明りの無い中で見る貴方の方が私は好きです」
「…何故いつも…私の背後を取るんですか…十一番…」
「では何故貴方はいつもいつも私をそう呼ぶのですか」
「……いえ…特に…意味は無いですよ…」
「では名前を」
「…貴方は…よく呼称に拘りますね…その思考も…わからない物では…ないですが…」
 
親愛なるフローレス。完璧な私達。
 
「ファサネイト」
「はい」
「…貴方がそれでいいのなら…いいです…」
 
フローレスの紫色の瞳は私の方向を見ていないので、今私は何をしてもいいと思うが、フローレスは私が何をしてもすべてに気が付くので何もできない。フローレスは実に私達皆に優しいと思う。でも私達の中で最も強いのもフローレスなので、フローレスの【おいた】は受けたくない。何度かさせたことはある。
 
フローレス、髪留めは」
「…ファサネイト…貴方が光をとても嫌うから外したのですが…」
「そうだったんですか。ならいいです」
 
優しいフローレス
 
「…仕事を…伝えに来ましたが…」
「いつでも出られます」
「…貴方は…着替えるべきですね…」
「必要ですか」
「…その匂いを…嫌う者も…我々の中にはいますから…」
「ああ、成程、それですか」
 
今回の食事では私は衣類の殆どを纏ったままだった。女性の去り際の確認が、私の衣類を彼女が汚した事に対する確認だったのだろうと漸く気が付いた。私自身が汚れる事が殆ど無い故に頻繁には衣服を変えない。着替え。着替え…
 
フローレス、貴方が私の世話を焼いてくれたら楽しい」
「…自分の着替えは…自分でしなさい…ファシー…」
「その愛称を私は少々気に入っています。だからやりますが、少し足りないと思います」
「…何を…私に…?」
 
フローレスが私を着替えさせてはくれないらしい。残念だと思う。でもフローレスが言うのなら私はそれに従う。
纏めて撫でていたフローレスの髪を束ねて、その下の、女性よりも余りに白い項を見た。
 
「血を吸わせてくれたら」
「…飲んだばかりでは…?」
「はい。牙を立てるだけでも結構です」
「…それは許可できません…少なくとも今回は…貴方の牙はなんというか…もやもやとさせますし…」
「わかりました諦めます。仕事が終わってからまたお願いします」
「…そうですか。…では…身支度がすんだら…上階へ…」
「今回の仕事はフローレスとですか」
 
夜にこの施設を出て、海底洞窟へ向かい、光の差さないその場所で適時指令を果たす、それが仕事。
必ずフローレスと共に仕事ができるという訳ではないので、一緒に出来るのなら嬉しい。フローレスが沢山私と共に行動してくれると嬉しい。
 
「…はい…私と…他に数人…」
「そうですか。頑張ります」
「…頼りに…していますから…」
 
ずっと眺めていた白い項が見えなくなって、代わりに紫色の瞳が見えて、振り返られたのだとわかった。私の目を見る。私と目が合う。フローレスはあまり、意図のない行動をしない個体だ。だからこちらを向いたというのは理由があって、大抵そういう場合は、以前私が頼んだことをしてくれる。だから私は少し頭を下げた。
 
「…頼まずとも…きっと…ダーティがしてくれるとは思いますが…部屋の掃除と衣類の洗濯を頼んでから…上に来てくださいね…」
「したいようなのでさせているだけです」
「……あまり…険悪には…ならないように…。では…」
 
フローレスは私の頭を撫でて、また私の目の前で私以外の個体の事を話して、私にフローレス以外と綿密な意思の疎通をしろと言った。そして去った。頭を撫でてくれるだけなら、私は気分が良いまま仕事に行けたのに。実に残念だ。優しい彼は私以外の同族にも生者にも須らく優しく接する。私がそれをあまり好ましく思えないことは私自身が誰よりも知覚している。フローレスが私だけを特別としてくれればいいのにと思う。私にとってのフローレスは特別だから。
 
フローレスに体温があったらと思う。だが彼の血だけは、冷たい冷たい血だけれど、温かく感じる。おいしく感じる。ずっとずっと吸っていたいと思う程に。彼が生者だったらと思う事さえある。温かい彼に埋まりたいと思う。どうしてかはわからないし解き明かそうとも思わない。ただ、私がそう思うというだけなのだ。私は困っていない。
 
いうなら、フローレスこそがこれを解明するべきだと思う。私が彼に何か迷惑をかける理由など、彼に構われたい以上の理由はないからだ。だからフローレスは私を深く深く考えるべきだ。そうして私を教育し躾けるべきなのだ。そうすれば私はフローレスにとってのいい子に、きちんとなるのだから。それだけの話だ。簡単な話。フローレスが私の事をたくさん考えればいいんだ。
 
 
 
仕事が、楽しみだ。