ほうさんのお国柄

企画参加用創作ブログ。絵は描けない。文のみ。お腐れ。色々注意。

精霊小話後半

続き。完全に家族状態。

 

 

 

6。
「戻ったぞ」
「おかえりです」
「あれはどこへ行った?」
「夕飯用に肉を狩ってくるって出かけました」
「ほお珍しい」
「後恥ずかしいって」
「恥ずかしい?」
「なんでルートグラン様に居場所を知らせてるのが恥ずかしいのかって聞いたんすよ」
「はっはっは!!」
「!?」
「そんなことを聞いたのか!」
「やっぱ恥ずかしいんですかこれ」
「それはもう奴にはなぁ」
「素直じゃないだけじゃないんすか。何時もの持病」
「持病扱いされているのは流石に同情せざるをえないが、持病だけではないな」
「やっぱ持病なんすねwww」

 

 

7。
「私はこういった例え話が苦手なのだが」
「知ってます」
「知っていたかね」
「毎回なんかちょっとおかしい感じが…」
「…一応本当に伝えようと最善を尽くしている事は信じてくれ」
「そこは大丈夫っす…」
「例えば、鴨がいるだろう」
「鴨」
「鴨がネギを背負っている」
「鴨ネギ…」
「この鴨がアレだ」
「サラトナグが鴨…わかりました(?)」
「この鴨が鍋に入り、だし汁で煮ゆる」
「鴨鍋ですね…」
「鍋の中でネギを切る」
「美味そう」
「今夜は鴨鍋がよいな…」
「そうやってすぐ脱線するからわかりにくいんですよ!?」
「はっ!?本当だ脱線しておる…おのれ鴨鍋…」
「(この人が天然って言われる理由は主に食欲の所為だよな…)」

 

 

 

8。
「つまりそういう事だ」
「待ってください何処からどう読み取ればそういうことになるんですか」
「鴨鍋を自ら作っておる」
「?????」
「鴨が。」
「鴨が…」
「鴨鍋に。」
「鴨鍋…」
「わかったかね?」
微塵もわかんねぇです」
「なんと」
「もうちょっと説明ないんですか…?」
「鴨が…」
「鴨って単語を使うのをやめてみてください」
「…くだもの」
「食べ物にしかならないんですか…」
「美味そうなのだ。」
「あー…なんかそんなような事を言ってましたね…」
「美味そうな物がうまそうにしておる」
「もうわかんねぇや」

 

 


9。
一時間後
「ただでさえ美味しそうな魔力をしている生産系の加護を持つ精霊は元からその他の精霊から食糧として見られがちで本人達もそれを理解しているけれど余程の事がない限り食糧として自分を振る舞う事は無いという前提で!


わざわざ自分を美味しそうにみせる精霊は余程の異常性壁か喰われる時に性的快楽を覚える事が多いので!そういう認識が精霊達の間では一般的だという事実も踏まえた上で!!

 

自分を美味しそうに見せるという事は非常に深い愛情を抱いている相手にしか大抵しない行動なのでそれを言いふらすのは余程の色狂いか、ある種の告白なので…」
「恥ずかしい、という事だ」
「一時間も説明されてようやく理解しました。今度からはお手数ですが前提まで初めから聞かせていただけるとありがたいっす」
「うむ。貴重な若者の意見として受け取っておこう」
「前聞いた精霊あるあるもそうなんですけど、精霊達の常識ってのがわからないとマジでなんも意味がわかりません」
「アレが言っておった、誘ってるみたいで恥ずかしい、で大体あっておるだろう?」
「いや、人間は基本人間を食べるっていう意識ないんで…自分を美味しそうにみせる、って事がまずよくわからなくてですね」
「そうか。まぁそういう事だ。アレの持病と相成って逃げたんだろう」
「…美味そうなんですか?」
「実際美味いぞ。部位によるが」
「…うぇ」
「もしも食糧難になればアレを筆頭に自ら血肉を差し出す精霊が溢れるぞ。そうならんのが一番だが」
「なった事はあるんですか…?」
「戦争直後の復興期間に一度あったな」
「うえぇ…」

 

 

 

10。
「ただいま!!!」
「おかえり」
「戻ったか」
「…ふんっ」
「何だ何を拗ねている。言いたい事が有るのなら言えばよかろう」
「なんもない!!アレス!!ご飯!つくって!」
「おう。何とってきたんだよ」
「鴨」
「「おっ」」
「え、なに」
「丁度食べたいって話してたんだよ。流石だな」(なでなで)
「ちょ、ちょっと!やめてよ!もう!」
「一羽しかないのかね」
「君花畑まで使って更に集るの図々しいよ?」
「どうせ火事の修復用だろう。蜂が花粉を運ぶ。丁度良いではないか」
「そういう問題じゃないの!!!」
「ネギあるか?」
「畑にあるよ!」
「鴨ネギ鍋か。鴨が鴨を。」
「は?かも?」
「wwwwwww」
「何?何に笑ってるの?かも?」
「鴨は美味いな、って話してただけだぜ」
「ああそうだとも。腹が減った。早く食事にしようではないか。手伝おう」
「マジすか助かります」
「待って待ってなんで君達二人きりにすると毎回仲良くなってるの!?なんで!?やだー!!僕のアレスなの!!持ってかないでよ!僕も手伝うー!!!」