ほうさんのお国柄

企画参加用創作ブログ。絵は描けない。文のみ。お腐れ。色々注意。

【ss】バレンタイン:本編軸サラ&アダ

本編軸バレンタイン。一応イベント期間内だからいいよね…?でもあんまり胸キュンしそうな感じじゃないよ!!!すいませんね!!

サラさんがおいたんと一緒にチョコを作るそうです。相変わらずおいたんの口は悪いです。

 

なんか配信でチョコ売ってるって聞いたから取り寄せさせていただきました。色々と。

 

冬の間はサラさんの家におじじも来てて、サラさんとアレスト君とおじじの三人(?)で暮らしているという前提です。おじじが放浪癖があるからね。寒いからね。仕方ないね。

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コンコン

「はぁいどうぞぉ」

ガチャッ

「どうもばば様ご機嫌麗しゅう。相変わらずヒモ二人を養って優越感に浸っていらっしゃるようで何よりです」
「ドアを開けて早々にそれかい?」
「街から遠路、こんなにか弱い自分を歩かせたんですからそれくらいの愚痴くらい許せますよね?」
「もーごめんって!さぁさぁ入って入って」
「ええ。ヒモ犬二匹はどこへ?」
「別の家に追い出した」
「なるほど。では準備をするのでしばらくぼーっとしててください。アホ面で」
「寝てていいってことだね?」
「そう解釈していいですよ」
「昨日も夜遅かったから眠かったんだよ~…ありがとうねぇアダネア君」
「これだからメスビッチは…」
「そんなんじゃないよ!!」
「今日はタチですよ」
「はいはい…」

 

〜数時間後〜


「起きてください。起きないとチョコレートプレイとやらをしますよ」
「食物をセックスに使っちゃいけません!!」(ガバッ
「おはようございます」
「おひゃっ!?おっ、おはよ…えっと、」
「冗談ですよ。朝勃ちしてたらわかりませんでしたが」
「あっしてないよかった
…今は?」
「約四半日後ですね。よく寝てましたね。ガキの面でのんきに」
「ずっと見てたの…?」
「ええ」
「君ってホント僕のこと大好きだね」
「ええ」
「…さて!!この甘い香りを!説明しておくれ!」
「なんて白々しい。まぁいいです。では厨へどうぞ」

 

 

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「まず、ご依頼通りカルマポリス製のチョコレートです」
「流石アダネア君だよ!ちょっと食べていい?」
「どうぞ。甘味は抑えめ。さて先ずは脂肪分が少なく溶けにくいので、滑らかにするためにできる限り細かく砕きましょう」
「あっほんとだ苦いや。でもおいしいなぁ。えっと、棒で砕けばいい?」
「サラ様は基本的にドジで抜けてて情けない若作りじじいなのでそういう危ないものは持たないでください」
「ええ…」
「ということで既に砕いたものがこちらです」
「もうやってたの!?」
「では次に溶かします」
「酸?」
「熱です」
「アダネア君大活躍だね!」
「自分が手を突っ込むとでも?してもいいですけどちゃんと全部舐め取ってくださいね」
「あっ違うの」
「お湯で溶かします」
「お湯に入れ…る?」
「…熱の伝わりやすい容器に入れ、その器を湯に浮かべて徐々に溶かします」
「そうやって溶かしてたのかぁ」
「扱ったことはないんですね」
「ないねぇ。えーと、じゃあお湯を沸かs「サラ様は火を扱うとどうせ火傷しますので扱わないでください」普段僕料理してるよ!?」
「ということで溶かしたものがこちらになります」(ことっ
「あるんだ!?」
「糖度の調節はこの段階で行いましょう。今回はバカでも作れる要点さえ抑えておけばいい菓子を…」
「アダネア君?」
「…覗き込むときは、器を傾けるのではなく。水分が入ると台無しです」
「あっ!」
「先ほど砕いたものを湯に置いておいたのでこちらを使いましょう」
「用意周到だね!!恥ずかしいや!!!」
「いい歳こいて…ではこちら、牛の乳…乳脂肪、通称生クリームです」
「それを入れると?」
「固まる際の硬度が落ち、柔らかな固体になります」
「へー?」
「大体この器に、この線まで入れてください」
「うん」
「ではそれを少し温め、」
「えっいれちゃったよ!?」
「…冷やしたまま持ってきていたので、」
「わああああっなんかどろどろ」
「分離するんですよね。温度差が急だと」
「うう…ごめんね…」
「…後で自分を労ってくれるなら許してあげます」
「いっぱい謝るしいっぱい労うよぉ~…ううう…」
「言いましたね」
「うん…約束する…」
「じゃじゃーんではこちらが調味済み整形済み固め済みの完成品です」
「アダネア君!!!!」
「はい」
「君ってほんっっっっと最高だよ!!!」
「諦めましたね。そういう聞き分けの良い所はいいと思いますよ」
「でも失敗したやつは…」
「他の物に使いますからご心配なく」
「アダネア君…」(トゥンク…
「後片付けするので適当に食べててください。粉が落ちるのでお気をつけて」
「大丈夫だよぉ。僕だってそんなドジじゃぁないよ?」
「自覚がないっていうのは流石に自分にアホと罵られても文句は言えませんよばば様」
「酷くない???」

 

 

〜 約一時間後〜


「終わりましたよ。…ほとんど平らげたようで。ピー―が好物なばば様のお口に合うかの心配は不要だったみたいですね」
「君は僕の好み熟知してるだろ…とってもおいしかったんだけど。」
「ええ。でしょうね」
「僕、あんまり甘くない物を作ろうとしたんだけどな」
「知ってますよ」
「だよね。君が知らないわけがないよね」
「ええ。当然ですね」
「お酒を、入れようかって話だったよね」
「ええ。用意はしましたよ」
「入ってなかったね」
「ええ」
「…きみは、」
「自分は、貴方様が何を求めているか、何を作りたかったかはよくわかっているつもりですよ」
「うん」
「協力の要請も受けました」
「…うん」
「ですが応援するとは言っていません」
「…そうだねぇ」
「じじ様に食わせる為の菓子を、自分が作ると少しでも考えましたか?相変わらずの色惚け脳ですね。ヤリすぎで脳が焼けましたか。別に貴方方は番になったわけじゃないでしょう。冬季の宿に都合よくされているだけですよ。労力を捧げるだけで何も返ってきませんし何も成りません。無意味な行為に自己を割くなんて、無駄、ですよ」
「…わかっ、てるよ」
「それならいいんです。どうでしたか。自分が心からの愛を込めて、貴方の為だけに作った、貴方が好きに決まっている、おいしいお菓子の味は」
「すごくおいしかったよ。」
「ええ」
「ほんとうに、すごく、おいしかった。

 

…でもきみは、このおいしさも無駄だっていうのかい」
「いいえ?」
「でも僕も何も返してあげられないんだよ。だけど僕はすごくうれしかったよ。君は本当に僕のことをよくわかってて、だから、無駄だって、同じものだって、それも、わかるだろう」
「あぁ、本当に貴方は物忘れが激しい。それでも何度でも教えてあげましょう。

 

その無駄を、僕らは愛と呼ぶんです」