7/21だって聞いたから コリーディ②その後
7/21だってなんか言ってたから書きたかったんだけど大したもんじゃない。普通におなってる誰かのすけべ書きたかったんだけど羞恥心で私が死んだからこうなった。
萌えようコリーディ②のその後の話。続いたら続く。
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「あ、コリーディのねーさんだ」
森の中を通る一本道。木々の境目。馬上から青空を見上げた人間の青年、アレスト。彼の紫の瞳に映ったのは、茜色の女性。空中で跳躍を繰り返し、ピョンピョンと。まるで兎が踊っているかの様な動きで、青年が来た方向から、向かっていた街のある方向へ一直線に跳んでいく。驚くほど軽やかで、楽しそうに、気持ちよさそうに、風とともに。あっという間に彼女の姿は消えた。明勲落ちと呼ばれているのは伊達じゃないらしい。明勲候補に名は上がるが、何かしら難があって明勲になれない精霊。おそらく彼女の難は性格、いや、性癖。ただ一点だろうが。
アレストは来た道を振り返る。懐の重さは、自分が世話になっている精霊サラトナグが、街で遊んで来いといって渡して来たものだ。中を見たが、毎度のごとく大金。
そもそもこれは、空を駆けていった彼女とサラトナグが、アレストにあまり聞いて欲しくない話をするために渡したものである。その彼女がもう去ったのだから、街へ行く意味もないのではないだろうか?
青年は、心からの好意でそう思ったのだ。いつもより多く渡された金は恐らく申し訳なさであろうし、街に行けばつい使ってしまう金も、行かなければ無駄遣いにならずに済む。いつも散々豪遊させて貰っているのだ。今ならまだ、簡単に家に帰れる。そうして、青年は来た道を引き返して行った。
本当に、一片の曇りない好意だったのだ。ただ、家の主は、あれだけの金を渡したのだから最低でも三日は帰ってこないだろう。と思っていたし、空を跳んで去っていった彼女の置き土産にそれなりに性的興奮を煽られていた。
つまりサラトナグは、家の鍵は閉めたけれど自室の鍵は閉めていなかったし、他の物音など気にする事もなくその本と行動に集中していたし、こそこそと毛布の中に隠れたりなどもしていなかったのである。とてもゆったりと開放的な具合で、集中していたのだ。
アレストは自宅である訳だし合鍵を当然所持していた。もしかしたら、コリーディから重要な事柄を言い渡され、真剣に作業をしているという可能性を踏まえて、静かにドアを開けた。そこにサラトナグの姿は見えず、自室にいるという事も分かった。あくまで気を使って、何か飲み物でも淹れてやろうと思い、何がいいか聞こうと思い、いやでももしかしたらすごく集中しているかもしれないしもしも鍵が開いてたらコソッと見て話しかけて良さそうかどうか伺おうノックして邪魔になってもアレだしな。うん。
と、本当の本当に心の底からの好意で、鍵のかかっていないサラトナグの自室のドアに手をかけた。
どことなく甘ったるい空気、寝台の上開かれたコート、もぞもぞと規則性もなく動く脚、足先の指は何かを耐えているのかなんなのか忙しなく悶える。蠢く指、本を支える手も少々震える。そんな経過を湿った吐息混じりに終え、調度、調度声らしい声を上げ身体を大きく震わせた所だった。いや、そうしようとしていた所だったのだ。その直前に、息を吸おうと本から視線を上げた所だったのだ。
あ、やばいもんみちゃった。という青年の思考と、え、なんでいるのさ。という精霊の思考は、視線とともに交わった。
「あー、っと。」
「…なんで、いるの?」
「いや、ねーさんが帰るの見えたからよ。もう出て行く意味ねぇな、と思って」
「ああ、うん、そう、そうね。確かにそうだ。そうだ」
「そうだろ?おう、そうなんだよ。偶然だ」
「ちょっと入ってこないでよ、そこにいて、そ、ちょ、そこに居てって言ってるの!!」
「すまん」
「うん、それでいい。いや、よくない。よくないよなにも」
「なんつーか」
「待って待って待って何も言わないでほんと。なんにも言わないで。言うなら相当言葉選んで。選び抜いた言葉だけを発言して」
「あー…その、なんだ。あんたでも」
「言うの?????言わないでって言ったよねそれは何かを言う前振りだよね」
「あっ」
「あっ!?」
「あんたでも、
ひとり遊びってのはするんだな!」
「言葉を選べはそこのバリエーションじゃなくてどうフォローするかって意味だったんだけど!!??」
「どうしようかめっちゃ迷った」
「じゃあ言うなよ!!!何も言わずにそっと去っていって欲しかったよ !!!」
「目があったらもう仕方ねぇだろ」
「部屋に入ってくる必要あった!?ごめん、って言って去ってくれたら僕はこんな情けない姿のまま君と会話せずに済んだんだけど!?」
「とりあえずちんこしまえよ…な?」
「ばかー!!!」(べしっ
「おっと物を投げるなって…おいおいオカズ投げるなよ気まずいだろ」
「今更だよばぁか!!!ばーかばーか!!!」
「おいおいこれ俺じゃん。まぁ…おう…すげー複雑な…うわぁすげぇ…」
「ああもうやめておくれ!もうやめて!!!まじまじと見ないで!!一番気に入ったページを見ないで!!」
「いやでもサラがオナ「言わないでって!」自慰行「言うなって言ってるだろ!!!」ひと「あああああああ!!!」すまん」
「あのさ!?僕今すごく心が痛いの!!傷ついてるの!!!丁重に扱ってくれないかな!!??」
「オナりたいときもあるよな。俺は数年前だけど最後にやったの」
「僕だって数十年ぶりだよ!?偶然、ほんと、ほんと偶然なんだってそんないっぱいはしてないんだって本当だから本当に」
「大丈夫大丈夫隠さなくていい」
「隠してない!!!!フォローするなら最後までしきって信用して!!!してないから僕は!!そんな相手に困るような僕じゃないから!!!」
「他人には出来ない行為への性癖っての?うん、仕方ねぇよな大丈夫大丈夫俺は平気頭の中だけに留めといてくれや」
「違うって!!!そういうアブノーマルな趣向でもないから!!!もうやだぁフォローは遅いし出ていかないし傷抉ってくるしやだぁアレスのばかばかばか」
「おまっ、そんなこというけどこっちだってねーんだぞ他人のガチ自慰行為に遭遇しましたなんて!?どうフォローすればいいんだよわかんねーんだよ鍵閉めろや!!!」
「ごもっともだけども僕だってめちゃくちゃ恥ずかしいんだからね!!??そこんじょこらの青少年が親に見られたのとは訳が違うんだよ僕だよ!?」
「知らねーよそりゃ恥ずかしいだろうよ俺も気まずいわ!!!もうあれだ??俺が去ってもそれはそれで自己嫌悪に浸るんなら逆にな???逆にもう開き直った方がいいかもしれねーとかそういうのでどうにか納得しろ!!」
「なんで逆にするんだよぉ!!いいよほっといてよほっといてくれればいいのばかばかばか!!!」
「ちょ、泣くなってそんなマジで泣くなよ…」
「うえぇえええん…!!僕、君に会ってから今までの中で一番死にたいって思ってる…すごく恥ずかしさで死んでしまいたい…」
「…とりあえず、な、しまえ」
「うん…」
「で、しばらく俺出てくから…落ち着け?」
「うん…」
「ほんと、悪気はねーから…」
「うん…」
「邪魔して悪かった」
「いやそれはもういいよ…」
「続きは俺が出てった後に存分に、」
「何で続きをすると思ったんだい!?する!?普通ここで君が出てった後再開する!?できる訳ないだろしなしなの萎え萎えだよ!?この恥ずかしさから立ち直れるかすら危ういのにそんな神経図太くないから!!!」
「wwwwwww」
「笑う所じゃないからここ!!!」
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自慰行為とは、なんの為に行うのか。昔は、単なる性欲処理。 意図しない、あるいは不本意な勃起を治めるため。であったのだが。
今となっては、相手が見つからない者や、あまりにも急を要する性欲処理、はたまた、他人で発散させるのが非常に難しい異常性癖の発散、など。そういった事柄のためにしか行われない。それが、当然、なのである。
つまり、今では趣味でありゲームであり、むしろ相手が善がっているところを見られることで自分のテクニックが評価されるセックスよりも、自慰行為を見られることの方がよっぽど恥ずかしくて情けない。極めて情けないのだ。ましてや自分のような、特筆すべき異常性癖もなく相手にも困ることのない者が、本当に久しぶりに行った自慰行為を同居人に見られるというのは、これ以上ない屈辱。最上級の情けなさ。思わず死んでしまいたいと呟いても、仕方のないことなのだ。
数日前にそんな気まずいやり取りを交わした同居人は、どことなく何か企てているかのような性格の悪そうな笑みで、この家を出て行った。あの本の中の君もそんなような表情で僕のを咥えこんでいたよ、なんて言えるわけもなく。絡み合った様々な感情を必死に落ち着かせようと、性などとはきわめて距離を置いた日々を過ごした。まぁ本来はそんなに性的快感を必要とする種族や体ではないし、それ自体は大して苦じゃない。ただただ恥ずかしい。その恥ずかしさで新たな性癖を開発するということもなくただただ恥ずかしかった。穴があったら入りたかった。いかがわしい意味ではなく。
ようやくその衝動も落ち着いてきた、というとき、丁寧なノックが二回。家のドアをたたいた。
ノックをしなかったことで起きたあの現象に気を使ってくれたんだろうか。そう思うとこちらにも罪悪感というか、申し訳なさがどんどんと募っていく。散々バカだとののしって申し訳なかった。バカはどちらだというのだ。扉を開けて、彼の茶色い髪を抱きしめてキスをして、紫の瞳に謝ろう。快楽に弱い彼を、彼が最も好む抱き方で抱いてやろう。あわよくばその快感で、僕がこの白く細い指で不釣り合いなほどエグく黒い一物を頬を赤らめ息を荒らして扱いていた事実と光景を都合よく忘れてほしい。
そんな思いを抱きながら。おかえり、とできる限りさわやかに笑いながらドアを開けた。見えるのは濃紺のコートに、白い肌に、茶色い髪。で、あるはずだった。だと思っていた。しかし。
「ほう。お前がおかえりと言うとは。私もここに住むべきかね?サラトナグ」
「なんでお前なんだよ死にぞこないじじい」
「最高に情けない姿を見られた腹いせを私にぶつけるんじゃない健全な青少年よ」
「お願いだから死んでおくれよおおお」
くそほど着込んで暑苦しい白に、愛おしい彼よりも濃くて手入れの行き届いてない茶髪。涼しげで妖艶で夜空を切り取った美しい紫とは違う、意地悪そうで勝ち誇ったようななんかもうなんかイラッとする緑の目。無駄にでかい身体。頭上から見下すように見るんじゃない。ほんと、ああもう。そういえばこいつとアレストは結構仲が良かった。ほんと死ね。死んでくれ。アレスはいい。許す何でも許す。悪戯したかったんだね、うんいいよ許すどうせ恥じらってる僕がかわいかったんだろそうだろそうに決まってるよねふふふ仕方ないな許してあげるいたずらっこなところも好き。だけどこいつはダメだ許さん無性にイラッとする。思わず出る暴言もどうだっていい。もういい。もういいのさどうでも。
「しんでください」
「ん?顔が赤いぞ?羞恥か?」
「憤怒だよこの馬鹿ルート!!」
もうぼくの失態を掘り返さないでくれ、お願いだから!!