ほうさんのお国柄

企画参加用創作ブログ。絵は描けない。文のみ。お腐れ。色々注意。

【胸糞閲注】もう一人の指導者

胸糞注意です。エテ様編が終了し、ここから新しい…新しい?また別の人の視点の過去編がスタートです。こうやって広げすぎて畳めなくなってる事にいい加減僕は気付くべきだね???

 

 

大分下衆というか。見ていて胸糞悪くなる言動を多くすると思います。申し訳ない。サラさんを主人公とした場合の、敵役の視点、になります。サラさんも結構な下衆だよね…?悪役だよね…?とかそういうツッコミは至極まっとうなので何も言い返せないですハイ。

 

これの続き、というか。別視点というか。こっち見てないとわからないです。

o-osan.hatenablog.jp

 

 

尚、ここに出てきてた人の初登場は、

o-osan.hatenablog.jp

です。回収が遅い。この上記記事の数百年前に値します。上のは戦争おわった後だし既にゴズウェルさんがいるので本編前より精々200年以内の出来事ですから。

 

え?死んでなかったの?みたいな安心感はすぐになくなりますからとだけ言っておきます。

 

サラさん過去編:Ver.α。です。

 

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「撃て」


誤算と好都合。命さえあればいいから構わず撃てと言ったのは確かに僕だが、それを阻むだけの力がまだある奴がいるとは思わなかった。しぶとい。しかし、それだけのものは、奴らの言っていた聖母という精霊、まさしくそれだろう。ほかの空っけつの雑魚を十数人より、その聖母一つの方がよっぽど価値がある。足、腹、心臓も少しくらい欠けたかもしれないが、それでも立つのだからやはりしぶとい。誰だ?あんな丈夫すぎる生き物にまで、精霊、などという一緒くたな呼称をつけたのは。あんなのは化け物でいいだろう。

 


第二陣、装填準備。あの氷に近づくと人間程度では命を奪われる事は分かっている。遠くから割り削り切るしかない。出来る限り氷を狙えと控えに言った。無事に聖母は見捨てられたらしい。巡回船が奴らの船に追いつくだろう。僕の勝ちだ。全く指導者とやらはわかっていない。国同士の盟約だ。それをたかが代が変わったからと言って撤回できるわけがない。欲深い人間はそんな事許さない。攻め入らせる口実をそっちから作ったんだ。略奪はこちらの得意分野であると教えてやる。

 


構え。全くわからないな。何故庇ったのやら。強者が生き残った方が効率がいいと思わないのか?どうでもいいか。ただでさえ僕からしてみれば基地外共だ。使えさえすれば良い。

 

 


撃て。…さて、死体を回収するとしよう。雑魚の相手は雑魚にさせればいい。砕けた氷を踏み越えて、海岸に走らせる。僕はこの女の死体を…驚いた。まだ生きてる。ツイている。

 


「おい、聖母とやら。気分はどうだ?鉛玉はお前達の身体には大層な毒だそうだが…ハッ、睨めるとは恐れ入った。喜べよ。保護、してやる」


そんな力はないだろうが、念のため口に布を噛ませ、足としての体裁を保てていない脚にも枷を、片腕にも枷をしてボロ馬車に積んだ。なんとも麗しいご婦人だから僕の見てないうちに何が起こるかもわからないが、知ったこっちゃない。殺すなよ、とだけ伝えて、僕も海岸へ向かった。

 


灯しが連なる場所へ行く。精々の帆船が、動力を積んだ船に勝てると思うのだろうか。風は強くはない。どう考えても無理な話だろう。船ごと壊して水死体でもなんでも引き上げればいい。奴らは死に際に最も強く祈るから、どうせ捉えてからも加工しないといけない。だからその前に少しくらい破損しても構わない。死体にも十分使い道はある。眼球のピントを合わせて、岸から離れたその船の群れを見る。波も凪いでいた。もう直ぐ、もう直ぐ大量の素体が手に入る。それを使って攻め入ってやる。きっと向こうにはまだまだ大量の魔力を保有した精霊がいるに違いない。食料だってあるのだろう。ない心が躍る。僕が正しく強く使ってやるのだ。それは直ぐに世界を制する力になるだろう。世界中の富を兵器を以って集めよう。そして作ろう。完成された完全の完結した管理された世界を。整然とした平和な世界をだ。

 


そんな計画を練っていたというのに。ああ、だからあいつらは嫌いなんだ。海竜の唸り声。飛沫を上げる海面、荒れだす波、どんどんと波に押し流されて船同士の距離が離れて行く。沈む前に離れろと船に報を入れ、舌を打つ。歴史を停滞させる者共め。ただの災害だ。あの聖母とやらもそうだ。弱き者は狩られ贄となるべきなのに無駄に抗う。これもどうせそうだ。どれだけ計画を練ろうと、どれだけ文明を進化させても、それを薙ぎ倒す理不尽で秩序の無い暴力。努力を、無に帰す、見下しの暴虐。自然などという意味不明なもので嬲り殺してくる。大波が岸に来る前に逃げなければ。全員に退避令を出し、駆け足で戻った。


大波の中に光る金色が、月の光に反射して、きらりと見えた。

 

 

 

 


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「…ここ、は…」
「よう。目が覚めたか、やっぱりしぶといな」

 


折角なので特別待遇を計って、魔力を与えて隔離してみた。聞きたい事は多い。あと外に出しておくとどんな扱いを受けるかわかったもんじゃない。コイツは僕の研究の為に、もう少し生きてもらいたいのだから。聖母は僕を掠れた眼で見ると、訝しげに。


「…さら…?」
「…何故僕の名前を知っている」
「…違う…そう…違う、のね」
「…もしかしてお前は、僕に近しい者を知っているのかもしれないな?答えろ。そいつの名は、サラトネモか?それとも、サラトナグか?」
「…あなたは」
「僕はサラトルガ、だ。お前は?」
「…エーテランテ」
「そうか。エーテランテ。お前が僕と間違えたのは男か?女か?いや…お前程の女が夢に見るような存在だったのなら、男なんだろうな?ならサラトナグだろうよ。生きてたのか。そうか、そうか。」
「…あなたは彼の、何」


気丈な女だなぁ、とわかる。女の首に突き刺した針は、そこから管を通って僕の手首に繋がっている。女が生きる為に必要なだけの魔力を残して、それ以外は全て、僕に流す。感情の昂りや揺れ、死の恐怖、様々な要因でコイツらは魔力の生成量を増やす。この女の感情が上にだろうが下にだろうが揺れれば揺れるほど、僕が満たされる。笑みが零れる。


「兄弟だよ。アイツはお前に何も話さなかったのか?」
「…」
「聞きたいなら話してやるよ。いや、違うな。聞け。お前が愛した男とやらの汚らしい過去を聞け。お前に黙った恥を晒してやる。きっとお前は信じられていなかったんだろうな、弟に。だから話さなかったんだ」


女の表情は変わらないが、殺意という名の力だろうか。それが、流れ込んで来るのがわかる。気分がいい、実にいい!こんなにも上質なエネルギーは感じた事がない!!


「そうだな、何から話そうか。そうだ、アイツが初めて愛した奴の話とかどうだ。気になるんじゃないか?女々しいんだよなアイツ。一々全部日記に残してあったよ。胸糞悪い」
「…」
「可愛い面してたんだろ?僕と違ってよ。そんでその面で父親に…ああ、くっくっく。もっと悲劇的に語ってやるべきか?お前の好みに合わせてやるよエーテランテ。何にせよ、全部話してやるさ…」

 


女は変わらない表情で僕を見ていた。本当に美しい女だと思う。本当に。


「…あなたは、何を、望んでいるの」
「僕の事を知っても、これから死ぬだけのお前に意味はないだろ?大人しく悔いを無くしておいたらどうだ」
「貴方は間違いなく精霊。私は、この地に生きる精霊を護り助ける者。それは貴方とて、違わない」
「…僕は精霊なんぞじゃない。確かに、精霊の子として産まれた。でも産まれただけだ。なぁエーテランテ。僕は何千もの精霊を捕らえたが、その殆どは抵抗すらしない。死に際も祈るばかりだ。僕にはまるで生きる事を放棄しているように見える。実際に父と母とやらが助けてくれた者を、僕は知らない。なのにこぞって祈るんだ。キチガイだろ?嫌いなんだよ、精霊が。人間は身勝手だから嫌いだ。精霊はキチガイだから嫌いだ。妖怪は穢らわしいから嫌いだ。鬼は野蛮だから嫌いだ。僕はそのどれでも有りたくない。僕は精霊である事を捨てた、機械(アルファ)、だ」

 


かしゃりと音を立てて、僕の片手を変形させて見せてやった。この女の腹を貫いた銃のような形へと。アレは鉄と火薬を打ち出す機構だが僕の手は高圧エネルギーを射出して消滅させるための物だから、少し、違うが。


「僕はな、両親とも思いたくないが…そいつらを殺してやりたいと思っていたんだ」
「…でも、それは」
「わかるか。その為に生きたんだ。僕は力を持たなかった。でも僕はあいつらを殺してやりたかったんだ。だから力を手にするために何でもした。何でも、何でもだ。たどり着いた方法がこの身体だった。それだけの事だ。僕は力を手にした。だから、だから…殺しに行ったさ、キチガイ共をな。でもそこはもぬけの殻だ。復讐してやろうと思って生きてきたのによ、なぁんにもいやしねぇ。蓋を開けてみればどうだ。一番の末っ子が…僕には与えられなかった加護とやらを大いに授かって?かーわいいツラまで持ってよぉ、母親は殺して、父親とは散々交尾して、気色悪い事ありゃしねぇよな。その上殺しやがった。


僕が殺す筈だったのに、全部、奪っていきやがった。僕にはないもの全部を持って生まれたくせに、その上…その上僕の生きる意味さえ奪って…我儘な弟だよなぁ」


本当に、綺麗な、女だ。


「どっかで野垂れ死んでると思ったがな、お前から名前を聞いて、生きてるんだってわかって、すげー安心したんだ。よかった、って。久々に思ったよ。何かに安心したのなんて」


美も、力も、才も、あって。尚、いや、だからこそ、か?


「僕の復讐心の行き先が、まだ、ちゃんとあったんだな、って」


気分がいい。


「行き場がなくてよ、ずっと、ずっと、ひたすら精霊を殺し続けた。ちゃんと無駄遣いせずにな、全部使ったよ。でも収まらない。有象無象の精霊なんていうただの存在を消したところで僕の気は晴れないんだ。僕の昂った欲の捌け口は、ソイツじゃないと駄目なんだよ、やっぱり。殺してやらないと、苦しめてやらないと…僕が、上に立たないと、いけないんだ。僕は、兄だからな」
「…あなたたちは、よく、似てる」
「…へぇ」
「とても、幼い。とても純粋。…彼は、優しかった。とても」
「それは命乞いか?残念、僕は優しくないんだ。まァ、言う通りお優しいんだろうがな、僕の弟は。頭のイカレた父親の下のお世話までしてあげるおやさしーいかわいこちゃんだったんだからな」
「…」
「…どうだった?弟は。お前を悦ばせてくれたか?僕はイマイチそういうモノの楽しみがわからないが…
お前を見ていると、少し、興味が湧くよ」


魔力さえ与えてやれば銃痕さえすぐに消える女だ。左腕だけは何故か治らなかったが、十分だろう。


「ただ、趣味ではないんでね。だから教えてくれよ聖母様。弟と生き別れた可哀想な兄に、弟の事を教えてくれ?お前は弟にどんな顔を見せてやったんだ?弟はどうやってお前を愛した?あの色狂いは、上手、だったか?女を苦しませろと部下に命じるとな、大抵犯すんだ。僕はただの下賤な欲望をぶつけてるだけだと見下してるが、実際どうなんだ?愛した男に操を立ててる女っていうのは、強姦されるとそんなに苦しいものなのか?肉便器にされた女の姿何て僕は気持ちが悪くて見たくないからその気持ちを聞いたことはないが…お前ほどの美人なら、例え汚物に塗れても、まだ見てられる気がするよ。終わったらその口で教えてくれ。どうだったか、をさ」

 


気分が、いい。表情、顔色の変わらないこの女が、この女でも、心が揺れるのだ。逃げようとしているのか、魔力をどれだけ練ろうが、その度に僕の力に代わってしまうのだから…意味はない。本当に気分がいい!!そうだ、この女の身体を使ってもっと僕の身体を強化しよう。こんな質のいい素体はないのだから。眼球なんてどうだろうか。きっと、もっと多くの魔力を保持することができるはずだ。気分がいい、気分がいい、気分がいい。


なんでも手にした弟から、この美しい女を奪い穢したということが、たまらなく、気持ちがいい。

 

 

 

 

 

了 

 

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裏話とか雑談とか

ここから始まるもう一つのサラさんの話も、たまに、出てくるんじゃないかな。もうすこし情報が開示されたらキャラ設定とか載せる…いや載せないかもしれない…わからない…

 

サラトルガさんは正真正銘サラトナグさんのお兄さんです。

 

o-osan.hatenablog.jp

 51人目に至るまでに逃げた数人、まぁ二人だけなんですけど、そのうちの一人です。懐かしい記事だね。ちなみにサラさんの51番目、っていうのは51番目に捧げられる予定だったってことなので、実際には53番目の子。末っ子属性。ルガにいは26番目、最初に逃げ出した男の子です。もう一人逃げたサラに関しては…今のところ語る予定はないけど…そんなに本編筋に重要な立ち位置には出てきてないです。今のところ。あとこの時点で死んでる。でも苦しんで死んだとかそういう感じじゃないので安心(?)してください。唯一まともに生きてまともに死んだのが39番目に捧げられる予定だった、40番目の子サラトネモちゃんです。一応既に関連する人は出てきてるけどそれもまたどっかで語られるんじゃないかな…

ルガにいはサラトネモちゃんには復讐心を向けてないです。むしろ同族というか…仲間意識持ってる位。ナグさんだけが対象になってます今のところ。

 

今回の時点では相変わらずふわふわっとした語りしかしてないので…そのうち…色々…わかるんじゃない…かな!以上です。エーテランテ様に救いはありません。残念ながら。

 

(そもそもエテ様より後に死んだ聖女様の転生した生まれ変わりが既にレイン様として存在してて神子様についてもみこみこちゃんとして語られてるのに聖母とまで言われたエテ様について本編終了軸でなんにも語られていない時点で救われないんだなって感じです。僕はエテ様が大好きです。ふぅううえぇえええ…)